吹屋ふるさと村

弁柄(ベンガラ)

-Bengala-

弁柄(ベンガラ)とは?

ベンガラとは酸化鉄を主成分にした天然素材の顔料で現在は塗料や研磨材としても用いられています。ベンガラはインドのベンガル地方産のものを輸入したために「ベンガラ」と言われるようになったようです。

ベンガラの歴史

ベンガラは天然の赤鉄鉱として産出する酸化鉄であり、人類が最初に使った赤色の無機顔料です。フランス南西部のラスコー洞窟やスペイン北部のアルタミラ洞窟での赤色壁画は約17,000年前に作られたもので、ご存じの方も多いでしょう。一方、日本には中国から輸入したことで広がり、縄文時代には赤色のベンガラを施した埴輪や土器などに使われており、例えば、5,500年前の青森県三内丸山遺跡からは赤漆の土器が出てきています。その後は建築顔料としても使われるようになりました。京都で見られる落ち着いた赤茶色の「紅殻格子」が身近な使用例です。ベンガラは和風なデザインとの相性が良く京都の古き良き景観にも馴染みやすいのです。

「ジャパンレッド」発祥の地 -吹屋-

岡山県高梁市の標高約500mの高原上に忽然を出現する赤い街並み「吹屋」。かつては国内屈指のベンガラの製造地であり、社寺などの建築物や九谷焼(くたにやき)・伊万里焼や輪島塗等にも使用され、日本のイメージカラーである「ジャパンレッド」を創出しました。赤銅色(艶のある暗い赤色)の石州瓦とベンガラ色の外観で統一された見事な町並みは今も現存しています。

吹屋ふるさと村
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塗料「ベンガラ」ができるまで

無機顔料「ベンガラ」の製造されたのは吹屋(岡山県高梁市)で1707年頃でした。吹屋の銅山からの副産物である酸化鉄を出発原料としてこれを焼いてろうはを作り、さらに焼いて酸化することで赤色のベンガラを製造することに成功したのです。(現在の製造工程とは異なります。)

①弁柄は銅山から銅鉱石とともに産出された硫化鉄鉱石を原料としている。また鉱山の捨石から偶然発見されたと言われる。

②焼鉱場で鉱石を釜状に積み上げ、約30日間焼き続ける。その後、溶解や溶液濃縮、乾燥などを経て、ろうはという淡い緑色の結晶ができる。

③原料のろうはをよく乾燥させ、焙烙に盛り、700℃位の火力の釜にて1日~2日焼くと赤褐色になる。そこから数回釜焼を繰り返す。

④焼いたものに水を加え、かき混ぜる。段落的に水洗いし、不純物を取り除き、さらに粗いものと細かいものに分けていく。

⑤ベンガラをより細かくするため水車を動力とした石臼を引く。水を加えながら石臼で引き、さらに細かく泥状にしていく。

⑥ベンガラに含まれる酸分を抜くためキレイな水を入れて10~100回くらい繰り返し酸を抜く。それを乾燥させれば製品のベンガラが完成。

ベンガラ
ベンガラ

ベンガラの特長

紅殻または弁柄と表記されるベンガラは古代から使われてきた顔料のひとつです。そんな自然素材であるベンガラならではの特長をご紹介します。

自然素材ならではの風合い

自然素材であるベンガラ塗装の織り成すやさしい色合い、風合いにはペンキでは表せないものがあります。無添加住宅では壁材の漆喰に混ぜたり、無垢の木に塗装したりしてベンガラを使用しています。壁の一部に塗装することで室内空間にアクセントをつけることができます。また、自然素材ならではの日々の経年変化を感じていただけることと思います。

6色のベンガラをラインナップ

ベンガラは土からとれる酸化鉄が主な成分で暗い赤みを帯びた茶色が特長的な顔料ですが、ベンガラには赤だけでなく褐色や黒色、黄茶色などの調合と焼成温度によっては赤系以外の色を作ることも可能となりました。京都で見られる落ち着いた赤茶色の「紅殻格子」が身近な使用例です。ベンガラは和風なデザインとの相性が良く京都の古き良き景観にも馴染みやすいのです。無添加住宅では室内に使用できるもので「赤」、「黄」、「黒」、「ボルドー(ごく暗い赤)」、「茶」、「ベージュ」の6種類のベンガラカラーをラインナップしています。ベンガラを使用して仕上げることで趣のある古色な味わいになります。

身体に優しい素材

ベンガラは無機顔料なので余計なものが含まれていません。また粉末状になっているベンガラは水に溶けないので塗装する場合は有機溶剤が必要になります。そこで無添加住宅ではシンナーのような有機溶剤は使わず、身体に害のない豆乳と焼酎を有機溶剤の代わりに使用しています。そのため、有機溶剤の独特の刺激臭がなく毒性もないので施工者にとっても住む人にとっても優しい塗料なのです。

経年劣化しにくい

顔料には大きく「有機顔料」と「無機顔料」に分けることができます。有機顔料は石油などから構成される合成顔料のことで対して無機顔料は天然の鉱石や金属の化学反応によって得られる酸化物などから作られる顔料のことです。無機顔料であるベンガラは耐候性・耐久性に優れているという特長を持っているため、経年劣化しにくい素材と言えます。