柿渋 -Kakishibu-

青い未熟な柿(渋柿)をつぶし、圧搾してできた汁を発酵させたものを「柿渋」と言います。柿タンニンが主成分の柿渋は防水・防腐剤として古くは平安末期から塗料として使用されていたと言われています。

廃棄する渋柿を再利用

無添加住宅が扱う柿渋の原料は「愛宕」、「横野」、「平核無」、「西条」といった品種を用いて製造しています。製造に使う渋柿は食用の商品として使えない奇形な柿や、柿を十分成長できるように間引いて廃棄するものを再利用したエコロジーな商品です。また食用として育てた柿を選んでいますので安全です。

柿渋に使用する原材料

①西条柿
<島根県、鳥取県>
②愛宕柿
<愛媛県>
③横野柿
<愛媛県>
④平核無柿
<和歌山県>
果形は細長い卵形。4つの側溝があり、果皮は黄緑色。果形は釣り鐘状で長く、果皮は濃黄色。果肉も同じような黄色。果形はやや腰高の扁円、果頂部のへそは凹む。果皮は鮮麗な橙色。果形は平たく、横断面は長方形。果皮は鮮やかな黄橙色。
熟期:9月下旬~11月上旬熟期:11月中旬~12月上旬熟期:11月下旬熟期:11月中旬~下旬
果実量:150~200g果実量:180~200g果実量:270g果実量:150~180g

「柿渋」ができるまで

①時期が来ると渋柿を手作業で収穫する。
②収穫した渋柿を機械に入れ、水で丁寧に洗浄。渋柿の大きさはゴルフボールくらいのものが多い。
③洗浄した渋柿を円筒状のスクリュープレス脱水機でしっかりと搾り取る。
④機外に排出された渋柿の液体を集める。搾りたての新渋はフルーティーな良い香りがします。
⑤搾った新渋を発酵させる。さらに熱で殺菌することによって液体の色が褐色~赤褐色になる。
⑥タンクで最低1年以上熟成、貯蔵。また3年以上熟成させたものを玉渋と言う。
⑦塗料としての柿渋が完成。柿渋が醸し出す独特の褐色~赤褐色は素材ならではの雰囲気がある。
⑧柿渋を木材に塗布。また化学物質などの匂いに敏感な方でも安心してお使いいただくことができます。
⑨木材のキャビネットや無垢の床材などに柿渋を塗料として使うことで独特な風合いが出ます。

柿渋

柿渋の特長

化学物質を含まず天然素材のみでできた柿渋は人体に無害な塗料です。安心・安全な柿渋はその他にも素材ならではの特長があります。

抗ウイルス効果

液体の柿渋に、ヒト・コロナウイルスを付着させる試験[※]を行い、「ウイルスが5分間で99.9%以上不活化(死滅)する」ということがバイオメディカルサイエンス研究会の試験結果で明らかになりました。ウイルスの表面のたんぱく質に柿渋に含まれる「カキタンニン(柿渋の渋み成分でありポリフェノールの一種)」が付着することで感染力をなくし、ウイルスを不活化させます。また柿渋を無垢の床材に塗った場合でも8時間後には約99.4%のウイルスが不活化することがわかりました。今回の実験で柿渋の抗ウイルス効果が実証できました。
※ヒト・コロナウイルス(HCoV-229E)は新型コロナウイルス(COVID-19)とは異なるウイルスです。
※試験方法:TCiD50法。本試験はIOS18184に準拠したものです。

優れた消臭効果

柿渋は優れた消臭効果があります。柿タンニンに含まれるフェノール性水酸基という物質がニオイ成分と化学的に反応してニオイのない物質に変えることができます。加齢臭の元となる「ノネナール」、汗臭「アンモニア」、足臭「イソ吉草酸」などさまざまな悪臭に消臭作用を発揮することが明らかになっています。

柿渋の優れた消臭効果
柿渋の優れた消臭効果

自然塗料ならではの風合い

柿渋施工

柿渋は長く変わらない美しさを後世に残すことができる自然素材の塗料です。その風合いはペンキでは決して表すことができません。時が経つほどにその価値を感じていただくことができます。

抗菌作用

柿渋は細菌の繁殖を抑える優れた抗菌作用があるのも特長のひとつです。それは柿タンニンに含まれるフェノール性水酸基には菌の増殖を抑える効果があるからです。また柿の葉寿司のように柿渋は菌を寄せ付けない特性を持ち、さまざまな菌に対して強い効力を発揮します。

ポリフェノールの一種「タンニン」の重要な役割

タンニンはポリフェノールの一種で、コーヒーや紅茶、ワイン、柿に多く含まれ、飲むと唾液たんぱく質がタンニンと結合して沈殿し、口内で渋みや渇きを感じます。タンニンは抗酸化力を持つことから、動脈硬化を防ぎ、生活習慣病予防に効果が期待できます。
※無添加住宅の柿渋は食用ではありません。